「標準化」と「個の表現」の両立

コンサル会社になるか、それとも事業会社になるか

創業当時に悩んだこと。それは「コンサル会社」のやり方と「事業会社」のやり方と、どちらを取り入れていくかということでした。コンサル会社の素晴らしい所は、個々人の能力が極めて高い。みんな仕事が出来るし、どんなイレギュラーなことを頼んでも難なくやってのける。その一方で、仕事が属人化してしまう、その人が辞めるとわかる人が社内に誰もいない、同じような作業をあちこちでやっている・・・など、非効率が目立つ組織でした。

一方で事業会社、とりわけ創業者の高田が修行を積んだマブチモーターは標準化戦略の教科書にも出てくるような、典型的な「機能別組織」。仕事は全て機能に分解され、標準化されており、手順に従って業務を進めていくと価値が発揮されるという、極めて効率的な組織でした。その一方で、個々人の考え方が活かされにくい。標準に反することはやりづらい・・・。どちらも一長一短があり、創業当時のプレセナはどちらの方向を向いて成長をしていけば良いのか暗中模索をしていました。

トヨタに学んだ「標準化」

そんな矢先、創業して1年で運良くトヨタの問題解決研修教材を開発し、社内アドバイザーを育成するという業務を受注。当時4名しかいなかった社員は総出でトヨタに赴き、教材開発の議論に勤しみました。あるべき姿とは何か、問題をブレイクダウンするとは何か、なぜなぜ分析で大切なことは何か。問題解決とはトヨタの仕事の仕方であり、PDCAそのものである・・・これらの思想について日夜語り合う中で、「世の中の全ての現象は8ステップ(トヨタの問題解決手法)で片付けられるのではないか?」と思うほどに、8ステップの完成度の高さに経営陣は心酔していきます。

「名古屋でセミナーをやりなさい。我々が集客してあげるから。プレセナがつぶれるとトヨタも困る。」有り難いことにトヨタの方々はそう言って創業期のプレセナを育ててくれました。議論に不慣れな新入社員が会議に参加しても、嫌な顔ひとつせず「プレセナが会社を挙げてトヨタ化するのは素晴らしいことだ」と言ってくれました。とにかくプレセナに入社した社員はほぼ全員、トヨタのプロジェクトに入る。そして否応なく8ステップを叩き込まれる。

経営陣は元々「コンサル出身」であり「ビジネススキルの体系化」を志向していたこともあって「標準化・改善文化」があったものの、全社員に「標準化・改善文化」が根付いたのはトヨタの影響に他なりません。

総合商社に学んだ「個の尊重」

しかし一方で、創業期のプレセナに別の方向から大きな影響を与えたのが総合商社Aです。希望者研修で「ロジカル・プレゼンテーション」を1コマ受注したのを皮切りに、新人研修・ビジネススキル系の希望者研修・グループ向け新人研修・グループ向け希望者研修・グループ幹部育成研修・・・と多方面にわたり活躍の機会を提供して頂くこととなります。

商社的なものの考え方。それはトヨタ的な標準化・改善とは異なる、極めて臨機応変で変化に富むものでした。講師の教え方、個性などが厳しく要求されました。「あの方は確かに時間通りにきちんと講義を進めて下さいますが・・・でも講師じゃなくて、教材を読んでいるだけの人ですね。」そういう辛辣なフィードバックを頂戴したことがあります。使っている教材は同じ。進行も同じ。時間通りに終わる。受講者もそれなりには満足する。でも、「講師」と認めてもらえる人と「教材を読む人」と言われてしまう人の違いは、何なのか。

それを考えた結果が、詰まる所は「人間性」であり「個性」であり、その講師個々人の持ち味・持ちネタだという結論にたどりつきました。研修会社の売りものとして、講義の内容が標準化され品質が安定していることは大前提。しかしそれだけではいけない。教える人間個々人が、しっかりと「個性」を発揮すること。その大切さを気付かせてくれたのはその総合商社でした。

両立したら、今のプレセナになった

この2つの経験を活かし「標準化」をしながら「個を尊重する」。これがプレセナの根底にある考え方です。人を見て仕事をするのではなく、機能を見て仕事をする。これが徹底した標準化の考え方です。誰かに言われて行動するのではなく、あるべき業務というのは機能別で定まっており、担当は日夜「機能の底上げ」に腐心する。それによって、マーケティング、営業、教材開発、講師などあらゆる会社の根幹業務が「標準化」され「効率化」されていきます。

一方で、その「機能別・バリューチェーン」の上で活躍する個々人は、きわめて個性的です。業務は標準化が求められていますが、個人は個性を発揮することが求められる。営業であれば、標準的な営業の手順に則っていれば、売る時に使う「得意技」は全員違います。開発であっても、ラーニングポイントは標準化され、教材の作り方も標準化されている。しかし「どんな状況設定で、どんな内容の教材を作るか」は個々人に委ねられる。講師も同じで、講師のふるまいチェックリストは存在し、標準的な講師のやり方はトレーニングで叩き込まれますが、そこから先の味付けは講師それぞれ。

標準化された機能別組織で業務の効率性を追求しつつ、その上で個々人の個性を最大限に尊重し、発揮させる。それがプレセナの組織運営なのです。